転職の面接で必ず求められることといえば、面接冒頭での自己紹介。自分の名前と経歴、強みをまとめて話せば良い…と軽く考えがちですが、実は合否のカギを握っている重要なポイントです。
自己紹介を転職成功に結びつけるには、「企業はなぜ自己紹介を求めるのか？」をしっかり考え、適切に答えられるよう準備をしておくことが大切です。
ここでは、ほかの応募者に差をつける、自己紹介の方法をご紹介します。
目次
面接官は自己紹介で何を見ている？
そもそも、面接官は自己紹介で応募者の何を測ろうとしているのでしょうか。自己紹介は、ビジネスシーンでもプライベートでも、「自分がどんな人間か」をわかってもらうためによく行われています。
転職の面接における自己紹介も基本的には同じですが、普段の自己紹介がこれから会話を重ねていくためのジャブのような役割を持っているのに対して、面接官は応募者の「人となり」と「入社後にどれだけ活躍できそうか」の2点を見極めるために応募者の答えに耳を傾けています。
・人となり
第一印象の感じが良いか、言葉遣いや振る舞いがビジネスパーソンとして適切か、コミュニケーション能力があるかといった、人間的な資質が見られます。
・自社で活躍できそうか
これまでの経験、専門分野、ポテンシャルなどから、将来的に活躍できるかどうかを見極めています。
自己紹介と自己PRの違いとは？
自己紹介と自己PRを混同して、求められていない答えを返してしまうケースはよくあります。それぞれの項目の目的を把握し、面接官が本当に知りたいことは何かをしっかりと見極めましょう。
自己紹介の目的
自己紹介の目的は、これから面接を受ける自分自身の基本的な要素を知ってもらうことです。所属、氏名、出身地、専門分野、特技などを簡潔にまとめて、相手に興味を持ってもらえるように話します。
自己紹介の大部分は書類に記載されていることなので、ダラダラと話すのではなく、相手の興味をそらさないよう、要点を絞って話すのがポイントです。はきはきと大きな声で、にこやかに話すことを心掛けると、好印象を与えられます。
自己PRの目的
自己PRは、これまでの仕事上の強みや経験、性格上の特徴のうち、応募する企業で活かせる点をアピールすることが目的です。聞き手の関心を引くためには、相手が知りたいポイントを押さえて簡潔にわかりやすく話すのがコツ。
自分を採用したらいかに組織に貢献できるか、これまで培ってきたどんな強みをどう活かせるか、入社後の業務を意識しながら誇張しすぎない程度に伝えます。
効果的な自己紹介をするためのポイントは？
自己紹介をより効果的にするために、まずはキャリアの棚卸から始めましょう。キャリアの棚卸とは、自分がこれまで携わってきた仕事について、業務内容や得たスキル、成果、評価などを洗い出す作業です。
具体的には下記のようなことを整理し、言語化する作業です。
・プロジェクトや部署に所属した期間と仕事内容
・どんな成果を出し、どんな評価を受けたか
・習得した技術や知見
・一つひとつの仕事に対する自分自身の評価
キャリアの棚卸をすると、表面的な経歴だけでなく、自身の仕事の軸や理想の働き方、今後のキャリアプランが見えてきます。
キャリアの棚卸によって、自分の強み、仕事の実績、実績の裏づけがあるスキルを客観的に把握できたら、これから応募する職種に重なる実績やスキル、活かせる強みを見極めて、自己紹介に盛り込んでみてください。
面接における自己紹介の仕方
自己紹介が重要であることは前述したとおりですが、実際に与えてもらえるのは面接冒頭のわずかな時間です。軸がぶれて話があちこちに飛躍したり、緊張しすぎて声が小さかったりすると、その時点で面接官の興味はしぼんでしまいます。
面接官に自分を印象づけ、話の続きを楽しみにしてもらうために、下記の3点を意識しましょう。
結論から話す
自己紹介の中で、自分の強みをアピールしたり意気込みを伝えたりする際は、つい熱が入って冗長になりがちです。必要以上に話が長いと、本来伝えたいことが伝わらない可能性がありますので、下記のような構成で話すことをおすすめします。
・結論（実績）
・実績を残すためにとった具体的な行動
・今後の展望
ビジネスシーンにおいてそうであるように、数字で表せる実績があればそちらから伝えるとわかりやすく、相手の関心を引く効果が期待できます。
具体的には、「前年比◯％のコンバージョンを達成し、全社の売上に貢献した」といった話にふれてから、「休眠顧客に目を向け、インサイドセールスに力を入れた」といった行動の話をします。
最後に、その実績と行動を志望先でどう活かしていくか、将来の展望を話しましょう。締めくくりとして前向きなメッセージを伝えることで、面接官の心をぐっと引き寄せることができます。
1分程度でまとめる
「1分で自己紹介をしてください」のように時間指定を受けた場合はもちろん、特に時間の制限がない場合も、自己紹介は1分程度に納めるのがベストです。1分以上の自己紹介は独演会のようになり、相手を飽きさせたり困惑させたりするばかりか、「聞き手のことを考えていない人」という印象を与えてしまいます。
長く話したからといって熱意が伝わるわけではありません。要点を押さえて、できるだけ簡潔にまとめましょう。
本番で緊張してもスムーズに話ができるよう、1分で自己紹介をする練習をしておくのも有効です。
明るく謙虚な姿勢で伝える
入室から挨拶、自己紹介までの一連の流れは、その人の第一印象を大きく左右します。下を向いてぼそぼそと話すと、「ビジネスシーンできちんと対応できるのだろうか？」「もしかして、自信がないのかな？」と相手に不安を与えかねません。はっきりと声が通り、表情がよく見えるよう、視線を上げて応対することを心掛けてください。
また、意欲を示すのは大切ですが、自分の手柄だけを言い立てたり、自分ばかりを魅力的に見せて他人を卑下するような言い回しをしたりするのは禁物です。アピールと傲慢は紙一重と考えて、謙虚な態度を崩さないようにしましょう。
自己紹介に必ず入れたい5つの要素
自己紹介や話し方のポイントをつかんだら、実際に自己紹介文を作り、本番をイメージして練習してみることをおすすめします。その際、下記の5つの要素は必ず盛り込むようにしましょう。
名前
自己紹介でまず伝えるのは、自身の名前です。面接をしてくれる人への礼儀としてはもちろん、提出されている応募書類と同一人物であることを確認してもらうためにも、はっきりとフルネームを伝えましょう。
自信なさげに見えるのを避けるため、面接官の目を見て背筋を伸ばし、堂々と名乗ることを意識してください。
職歴と簡単な実績
これまでに勤めた会社名、職種、勤務年数など、職務経歴書に記載した経歴を伝えます。このとき、「事務を3年やっていました」「◯◯の導入プロジェクトを担当しました」といった事実だけを述べるのではなく、業務の成果を併せて伝えましょう。
勤務先が複数ある場合は、「まずA社で◯年間××を担当し、プロジェクトリーダーとして◯◯のプロジェクトを成功させました。次にB社で◯年間××を担当し、前年比120％の売上を達成して社内表彰を受けました」のように、要点を押さえて具体的に話すことで面接官の印象に残りやすくなります。
なお、時間が限られているので、ここでは入社した年や退社理由は省いて構いません。
応募企業への適性
前段で話した略歴と実績が、志望先に入社した場合にどのように活かせるのか、何をどう活かそうと考えているのかを伝えます。
例えば、専門分野におけるソリューション営業職への応募の場合、「これまで培ってきた専門的な知見を武器に、営業としてお客様に具体的なソリューションを提供していきたいと思っています」といったように伝えます。これまでの実績が入社後の仕事内容に適していると採用担当者にイメージしてもらえるだけでなく、応募者自身もしっかりと認識して応募していることを感じてもらえるでしょう。
強み
過去の経験から得た強みの中から、応募職種にフィットしそうなものを選んで話します。
ソリューション営業職への応募の例でいうと、「私の強みは、年間◯社と取引をする中で培ってきた傾聴力です」「前職では、お客様の課題の本質を捉えた上でプラスアルファの提案をし、多くのお客様にご評価いただきました」などです。強みだけを伝えるのではなく、それらが応募職種にどう活かされるのかを関連づけて話すことが大切です。
意欲
最後に、自己紹介を総括する形で意欲を伝えます。例えば、「クライアントワークで経験した多様な業界のノウハウをもとに、御社のマーケティング内製化に貢献したいと考えています」というように、採用されたら取り組みたい仕事や、どんな意気込みを持っているかといったことを伝えるといいでしょう。
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本番の面接は想像以上に緊張するものです。できれば、入室から退室までの一連の流れを何度かおさらいし、表情や話すスピードなどを意識して練習をしておきましょう。
どうしても面接の自信が持てないようなら、プロのコンサルタントの面接対策を受けてみるのもひとつの手です。客観的な視点でアドバイスをし、自己紹介文のブラッシュアップと伝える力の向上をサポートしてもらえます。
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