ワーケーション導入のメリット|自治体・企業・従業員の視点から

この記事でわかること

ワーケーションのメリットについて調べているあなたは、すでに新しい働き方に一歩踏み出そうとしています。

従業員の満足度が向上し、有給取得率が改善され、企業の採用力まで強化される、そんな効果が実際のデータで証明されているのです。

ただ「就業規則の整備が面倒」「セキュリティ対策が不安」「費用対効果が見えない」という現実的な壁に直面し、導入を躊躇している方も多いでしょう。

この記事では、働き方改革の切り札として注目されるワーケーションについて、最新の調査結果や成功事例をもとに、従業員・企業・自治体それぞれの視点からメリットとデメリット、そして導入ステップまで、快適な作業環境も含めて具体的に解説します。

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目次

ワーケーションとは?

ワーケーションとは?
ワーケーションとは?

「ワーケーション」という言葉を耳にする機会は増えましたが、具体的にどのような働き方なのか、テレワークとは何が違うのか、ご存じでしょうか。

この章では、ワーケーションの基本的な意味や種類、社会的背景をわかりやすく解説し、導入を検討するための基礎知識を提供します。

  • ワーケーションの意味と定義、社会的背景
  • 休暇型と業務型という2つの主要な種類
  • テレワークとの明確な違いと位置づけ

ワーケーションの意味と定義

ワーケーションとは、仕事の「Work」と休暇の「Vacation」を組み合わせた造語です。

観光地やリゾート地など、普段の職場とは違う場所で休暇を楽しみながら働く、新しいワークスタイルを指します。

もともとは2000年代にアメリカで、有給休暇の取得率向上を目的として生まれた考え方だと言われています。

日本では、働き方改革やコロナ禍をきっかけに、場所に縛られない柔軟な働き方として注目度が高まりました。

観光庁の調査では、従業員向け調査で認知率が約80.5%に達する一方、経験率は4.2%(2022年時点)と、まだこれからの働き方と言えるでしょう。

参照:観光庁「今年度事業の結果報告」

しかし、矢野経済研究所は市場規模が2020年度の699億円から2025年度には3,622億円へ成長すると予測しており、大きな可能性を秘めています。

参照:日本経済新聞「ワーケーション市場、25年度に5倍3622億円の予測」

休暇型と業務型の2種類の違い

ワーケーションは主目的や働く場所に応じて、大きく「休暇型」と「業務型」の2種類に分類されます。

休暇型は福利厚生型とも呼ばれ、従業員が有給休暇を活用してリゾート地や観光地で長期滞在しながらテレワークを行うスタイルです。

従業員が自発的に場所を選択でき、スケジュールの自由度が高く、リフレッシュや有給休暇取得率の向上を目的としています。

一方、業務型は仕事を主体としたワーケーションで、地域課題解決型、合宿型、サテライトオフィス型の3つに細分化されます。

地域課題解決型は地域関係者と交流し課題解決に取り組むもの、合宿型はオフィスとは異なる場所で職場のメンバーと議論を交わすもの、サテライトオフィス型はシェアオフィスなどで勤務するものです。

導入している企業の53.1%が就業規則やテレワーク規程などの整備を行っており、目的に応じた制度設計が重要となります。

テレワークとの違いを理解する

ワーケーションとテレワークは、混同されがちですが、その関係性を理解することが重要です。

結論から言うと、ワーケーションはテレワークの一種です。

厚生労働省は、テレワークを「情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と定義しており、働く場所によって以下の3つに分類しています。

  • 在宅勤務
  • サテライトオフィス勤務
  • モバイル勤務

参照:厚生労働省「テレワークにおける 適切な労務管理のための ガイドライン」

日本テレワーク協会では、上記3つの分類にワーケーションも追加して4つの分類としています。

参照:日本テレワーク協会「テレワークとは~人とデジタルのコラボによる多様な働き方を目指します~」

テレワークという大きな枠組みの中に、ワーケーションが位置づけられている形です。

では、他のテレワークと何が違うのでしょうか。

最大の違いは「目的」と「場所」にあります。

  • 一般的なテレワーク:主な目的は「通勤時間削減」や「日常業務の効率化」。場所は自宅や近所のカフェなど「日常生活圏内」。
  • ワーケーション:主な目的は「リフレッシュ」や「創造性の向上」。場所はリゾート地や観光地など「非日常の環境」。

このように、ワーケーションは意図的に環境を変えることで、心身の充実と仕事の質の向上を両立させる狙いがあります。

そのため、導入の前提として、まず場所を問わず働けるテレワーク環境が整っていることが不可欠です。

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企業がワーケーションを導入するメリット

企業がワーケーションを導入するメリット
企業がワーケーションを導入するメリット

ワーケーションは、単に従業員が喜ぶだけでなく、企業経営にも多くのプラス効果をもたらします。

生産性の向上から採用力の強化まで、具体的なデータと共に5つのメリットを解説します。

自社にとってどのメリットが特に魅力的か、ぜひ見極めてください。

  • 科学的なデータに基づく生産性向上効果
  • 従業員満足度とエンゲージメントの向上
  • 有給休暇取得率の改善と働き方改革の推進
  • 採用競争力と企業ブランドイメージの強化
  • 地域貢献とSDGs推進による社会的価値の向上

メリット(1)生産性向上が期待できる

「休暇先で本当に生産性は上がるのか?」という疑問はもっともですが、その効果はデータで示されています。

2020年と少し前の小規模実験ですが、NTTデータ経営研究所などによる実証実験では、ワーケーションによって仕事のパフォーマンスが約20%向上し、その効果は終了後5日間も持続したという結果が出ています。

参照:NTTデータ経営研究所「ワーケーションは従業員の生産性と心身の健康の向上に寄与する ワーケーションの効果検証を目的とした実証実験を実施」

普段と違う環境が脳に適度な刺激を与え、ストレスを軽減させることで、集中力や創造性が高まるのです。

「限られた時間で仕事を終えて観光も楽しみたい」という意識が、かえってメリハリを生み、新しいアイデアにつながりやすくなります。

同実験では、仕事への自信(職務効力感)も高まることが確認されており、イノベーションの促進にも期待が持てます。

メリット(2)従業員満足度の向上

柔軟な働き方の提供は、従業員の満足度を直接的に向上させます。

ある調査では、ワーケーション後に仕事への熱意(ワーク・エンゲージメント)が高まった人の割合は、通常の観光後よりも高い結果となりました。

「仕事と休暇の境目が曖昧になるのでは?」という懸念とは逆に、意識的に切り替えようとすることで、むしろメリハリがつくという声も多く聞かれます。

実際にNTTデータ経営研究所の調査結果では、心身のストレス反応が約37%低減し、活動量が約2倍に増加したというデータもあり、従業員のウェルビーイング(心身の健康)にも大きく貢献します。

魅力的な労働環境はエンゲージメントを高め、優秀な人材の定着、すなわち離職率の低下につながるのです。

メリット(3)有給取得率の改善

ワーケーションは、有給休暇の取得率向上という具体的な経営課題にも貢献します。

「長期間、完全に仕事を離れるのは不安」「チームに迷惑がかかる」といった理由で長期休暇をためらう従業員は少なくありません。

ワーケーションは、休暇中に最低限の業務対応も可能にするという選択肢を提供することで、こうした心理的ハードルを下げます。

例えば、日本航空では2017年から休暇型ワーケーションを導入し、有給休暇と土日を組み合わせた長期休暇の取得促進に成功しています。

参照:日本航空

ワーケーションは、休みながらも仕事との接点を保てるため、従業員は安心して休暇を楽しめ、結果として有給取得率の向上につながるのです。

メリット(4)企業イメージと採用力の強化

先進的な働き方の導入は、企業のブランドイメージを向上させ、採用市場での競争力を高めます。

国土交通省の調査では、ワーケーション導入企業はまだ5.3%、導入を検討している企業は12.7%にとどまっており、導入企業はまだ少数派です。

参照:国土交通省「「新たな旅のスタイル」に関する実態調査報告書」

だからこそ、今導入すれば「働きやすさを重視する先進的な企業」として、他社との差別化を図ることができます。

特に、多様な働き方を求める優秀な若手人材にとって、ワーケーション制度の有無は大きな魅力となるでしょう。

働きやすい環境を整備する企業は、結果として人材が集まり成長する傾向にあります。

これは、採用活動における強力なアピールポイントとなるはずです。

メリット(5)地域貢献とSDGs推進への寄与

ワーケーションは、企業の社会的価値を高める活動、特に地域貢献やSDGsの推進にもつながります。

従業員が地方に滞在し、地域経済に貢献することは、「関係人口」(地域と多様に関わる人々)の創出に直結します。

通常の観光よりも滞在期間が長くなる傾向があるため、地域の魅力を深く知り、リピーターになったり、ふるさと納税をしたりといった形で継続的な関わりが生まれやすくなります。

こうした活動は、都市部への一極集中緩和や地方創生といった社会課題の解決に貢献するものであり、企業のSDGsへの取り組みとして対外的にアピールすることも可能です。

2019年には「ワーケーション自治体協議会」も設立され、企業と地域の連携はますます重要になっています。

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従業員がワーケーションを行うメリット

従業員がワーケーションを行うメリット
従業員がワーケーションを行うメリット

企業だけでなく、働く私たち個人にとっても、ワーケーションは多くの魅力を持っています。

ここでは、従業員の視点から得られる4つのメリットを、具体的なデータと共に見ていきましょう。

新しい働き方が、あなたの仕事や生活にどんな変化をもたらすか、想像してみてください。

  • ストレス軽減と意欲向上:非日常環境がもたらす心理的効果
  • ワークライフバランスの実現:仕事と私生活の新しい統合
  • 長期休暇の取得促進:有給休暇取得への心理的ハードル低減
  • 多様な働き方の選択肢が広がる:自己管理能力と自律性の向上

メリット(1)ストレス軽減と意欲向上

ワーケーションの一番の魅力は、ただの旅行以上に心身をリフレッシュさせ、仕事への意欲を高めてくれる点にあります。

パーソル総合研究所の2023年の調査では、ワーケーション後に仕事で良い変化や成果があった人の割合は、通常の観光後と比べて約30ポイントも高いという結果が出ました。

参照:パーソル研究所「ワーケーションに関する定量調査 調査結果」

いつもと違う環境が脳を刺激し、新しいアイデアが浮かんだり、仕事への自信(職務効力感)が高まったりする効果が確認されています。

実際に、ワーケーションをしたい理由の第1位も「リフレッシュ効果」(観光庁調査)であり、多くの人が心と体の健康を保ちながら、仕事のパフォーマンスも上げられる点に魅力を感じているのです。

参照:国土交通省 観光庁「「新たな旅のスタイル」に関する実態調査報告書」

メリット(2)ワークライフバランスの実現

ワーケーションは、「仕事」と「休暇」のどちらかを選ぶのではなく、両方を質の高いレベルで両立させる新しいワークライフバランスの形です。

これまでの「オフィスか自宅か」という働き方に、「旅先」という第三の選択肢が加わることで、仕事場所の自由度は格段に広がります。

多くの企業も「心身のリフレッシュによる仕事の質の向上」(観光庁調査)を期待して導入を進めています。

もちろん、オンとオフの切り替えは重要です。

あらかじめ「午前は集中作業、午後は観光」のようにスケジュールを決めておくことで、仕事にもプライベートにも全力で向き合い、充実した時間を過ごせるでしょう。

メリット(3)長期休暇の取得促進

「長期休暇を取りたいけれど、仕事が気になって休めない…」そんな経験はありませんか?

ワーケーションは、この「休みづらさ」という心理的な壁を乗り越える手助けをしてくれます。

休暇中も必要最低限の業務に対応できるという安心感が、「チームに迷惑をかけるかも」という罪悪感を和らげ、思い切って長期休暇を取得する後押しとなるのです。

観光庁の調査では、経験率はまだ低いものの、認知度は66%に達しており(2021年調査)、多くの人が関心を寄せています。

企業側もルール整備を進めており、例えば「ワーケーション中は出勤扱い」と明確にすることで、従業員が気兼ねなく制度を利用できる環境が整いつつあります。

メリット(4)多様な働き方の選択肢が広がる

ワーケーションは、従業員にいつ・どこで・どのように働くかを自己決定する機会を提供し、自己管理能力と自律性を飛躍的に向上させます。

観光庁の調査では、従業員がワーケーションを実施したい理由として「働く場所にこだわらない」が30.2%、「働き方改革推進」が28.8%と上位に挙げられています。

ワーケーションは単なる場所の変更ではなく、自分で仕事の進め方をデザインするという主体性を養う機会になります。

IT・Web職種や企画職など、パソコンがあればどこでも作業可能な職種での活用が進んでおり、2024年には能登半島地震をきっかけに復興ワーケーションという新しい形態が誕生し、通常業務を続けながら地域課題解決にも関わる働き方が登場しました。

福利厚生型、地域課題解決型、合宿型など多様な選択肢が、今後さらに拡大していくでしょう。

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自治体が取り組むワーケーションのメリット

自治体が取り組むワーケーションのメリット
自治体が取り組むワーケーションのメリット

視点を変えて、ワーケーションを受け入れる「地域」側のメリットも見てみましょう。

実は、ワーケーションは都市部のワーカーだけでなく、日本各地の地域にとっても大きな可能性を秘めています。

企業の社会的貢献や、新しい働き方の未来を考える上で重要なポイントです。

  • 地域経済の活性化:平日の観光需要創出と消費拡大
  • 関係人口の創出と拡大:交流から移住・定住への発展
  • 地域課題解決の新たな視点:企業連携と新産業創出

メリット(1)地域経済の活性化

ワーケーションは、観光需要が落ち込みがちな「平日」の経済をうるおす効果があります。

観光客が週末に集中するという従来の課題に対し、平日にも滞在してくれるワーカーが増えることで、宿泊施設や飲食店の稼働率が安定します。

例えば、福岡市が実施した「Colive Fukuoka 20240という」プログラムでは45カ国から参加者が集い、大きな経済効果が生まれました。

参照:PR TIMES「新しいインバウンド市場「海外デジタルノマド」誘致事業を通じて福岡市「アジアのゲートウェイ」加速」

また、富良野市のように助成金制度を設けて長期滞在を促す動きも活発です。

参照:富良野市「【ご案内】令和7年度「ワーケーション展開費用助成金」について」

2025年度には市場規模が3,622億円に達するという予測もあり、ワーケーションが地方経済の新たな起爆剤となる可能性を秘めています。

日本経済新聞:「ワーケーション市場、25年度に5倍3622億円の予測」

メリット(2)関係人口の創出と拡大

一度きりの観光客ではなく、地域と継続的に関わる「関係人口」を増やせるのも、大きなメリットです。

長期滞在が基本となるワーケーションでは、参加者がその土地の日常に触れ、観光だけでは見えない本当の魅力を発見する機会が増えます。

すると、「また来たい」「この地域を応援したい」という気持ちが芽生え、リピーターや移住者につながるケースも少なくありません。

富良野市のように、補助金の条件として地域住民との交流会への参加を義務付けるなど、人と人との繋がりを意図的に作る取り組みも増えています。

これは、地域のファンを増やし、過疎化といった課題に対する一つの解決策となり得るのです。

メリット(3)地域課題解決の新たな視点

ワーケーションは都市部の企業や人材と地域をつなぎ、地域課題解決のための新たな視点や専門知識をもたらし、新産業創出やイノベーションの機会を生み出します。

ワーケーションを通じて訪れる都市部の企業や専門人材は、地域にとって新しい知見や技術、ネットワークをもたらす貴重な存在です。

2024年の能登半島地震をきっかけに誕生した復興ワーケーションでは、通常業務を続けながら復興支援にも関わり、被災地の声を聞きながら復興計画の作成・推進などに参加する地域課題解決型の新しい形態が登場しました。

農泊型ワーケーションでは、研修や農作業に参加しながらリフレッシュ効果を得られるだけでなく、新しいスキルや知見、人脈が得られ、農業の人手不足解決とワーケーションをマッチングさせる取り組みとして注目されています。

観光庁では地域課題解決型ワーケーションを主要スタイルの一つとして位置づけ、地域関係者との交流を通じて地域課題の解決策を共に考える取り組みを推進しています。

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ワーケーションのデメリットとリスク

ワーケーションのデメリットとリスク
ワーケーションのデメリットとリスク

多くのメリットがある一方、ワーケーション導入には注意すべき点もあります。

しかし、事前にリスクを理解し、きちんと対策を講じれば、決して乗り越えられない壁ではありません。

ここでは、導入前に知っておきたい5つのデメリットと、その具体的な解決策をセットで解説します。

  • セキュリティ対策の必要性:情報漏洩リスクへの対応
  • 労働時間管理の難しさ:勤怠把握と人事評価の課題
  • 通信環境整備のコスト:Wi-Fi・デバイス等のインフラ投資
  • 費用負担の問題:企業と従業員の負担区分
  • 導入時の就業規則の見直し:法的整備の重要性

注意点(1)セキュリティリスクへの対策

オフィス外での業務は、情報漏洩のリスクを高めます。

特に、カフェなどの公衆Wi-Fiは通信が暗号化されていない場合も多く、サイバー攻撃の標的になりやすいのが実情です。

加えて、PCの盗難・紛失や、画面の覗き見といった物理的なリスクも無視できません。

ひとたび情報漏洩が起これば、企業の信頼を大きく損なう事態になりかねません。

この様な情報漏洩の対策としては、以下の様な内容が考えられます。

  • セキュリティソフトの導入
  • VPNによる通信の暗号化と多要素認証の併用
  • ポケットWi-Fiの貸与による安全な接続環境の確保
  • 端末のリモートロックやデータ暗号化
  • スクリーンフィルターの利用
  • アクセス権限の最小化
  • 定期的なセキュリティ研修の実施
  • ペーパーレス化の推進
  • 総合的なルール整備と定期的な監査の実施

注意点(2)労働時間管理の難しさ

従業員の姿が見えない環境では、「きちんと働いているか」を把握しづらくなるのは事実です。

労働安全衛生法で定められた労働時間の把握義務をどう果たすか、また、時間ではなく成果をどう評価するかが課題となります。

特に、業務の合間に観光などを挟む「中抜け」の管理や、成果が見えにくい職種の評価方法は、事前にルールを決めておく必要があります。

これが曖昧だと、従業員の不公平感やモチベーション低下を招きかねません。

この様な労働時間管理の対策として、以下の内容が考えられます。

  • クラウド型勤怠管理システムの導入
  • 中抜け・外出の申請ルールを簡素化
  • 時間単位での有給休暇取得制度の整備
  • フレックスタイム制の活用
  • 成果ベースの評価制度への移行

注意点(3)通信環境整備のコスト

ワーケーション導入には、通信環境やデバイスなどのインフラ整備に相応のコストがかかります。

安定したインターネット接続が業務の生命線となりますが、すべての地域で十分な通信環境が整っているわけではありません。

ノートパソコン、モバイルWi-Fi、セキュリティソフト、VPN環境、Web会議用のカメラやマイクなどの機材やツールが必要です。

ポケットWi-Fiの貸与費用は月額3,000円から5,000円程度かかり、WPA3以上のセキュリティを備えたWi-Fi環境の確保が推奨されています。

既にテレワーク環境が整っている企業では追加コストは抑えられますが、これから整備する企業では相当な費用が発生します。

コストを抑えるには、既存のテレワーク環境の活用、段階的な導入、自治体の補助金制度の活用、ワーケーション環境が整った施設の利用などが効果的です。

注意点(4)費用負担の問題

ワーケーション実施には交通費、宿泊費、食費、通信費などの費用が発生しますが、企業と従業員のどちらがどの程度負担するかが曖昧だと、トラブルや利用率低下の原因となります。

ワーケーションは休暇と業務が混在するため、費用負担の線引きが難しいという特性があります。

現状では、福利厚生型は従業員負担、業務型は企業負担のケースが多いものの、統一的な基準はありません。

宿泊費は企業が全額負担、一部補助、自己負担など様々で、交通費は業務型は企業負担、休暇型は自己負担が一般的です。

経団連の企業向けワーケーション導入ガイドでは、費用負担ルールを就業規則に明記することを推奨しています。

透明性のある費用負担ルールを設け、上限額の設定や自治体の補助金制度の積極的な活用により、従業員が安心してワーケーションを利用できる環境を整えることが重要です。

注意点(5)就業規則の見直しが必要

新しい働き方を導入する際は、その土台となる就業規則の改定が法的に必要となります(常時10人以上の労働者を使用する事業場の場合)。

口頭でのルールだけでは、後々のトラブルの原因になりかねません。

特に、以下の項目については、ワーケーション特有のルールとして明確に定めておく必要があります。

  • 対象者:誰が制度を利用できるのか
  • 場所:どこまでを就業場所として認めるか
  • 労働時間:フレックスタイム制など、適用する制度
  • 費用負担:交通費や宿泊費は誰がどこまで負担するのか
  • 申請ルール:いつまでに、誰の承認を得るのか
  • セキュリティ:遵守すべき情報管理ルール

難しく感じるかもしれませんが、経団連が公表しているモデル規程など、参考にできる雛形もあります。

参照:経団連「ワーケーションモデル規程」

これらを活用し、自社の実情に合わせて労使で話し合いながらルールを整備していくことが、スムーズな導入の鍵です。

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ワーケーション導入の手順と進め方

ワーケーション導入の手順と進め方
ワーケーション導入の手順と進め方

それでは、実際にワーケーションを導入するには、何から始めればよいのでしょうか。

いきなり全社展開を目指すのではなく、小さなステップで着実に進めることが成功の秘訣です。

ここでは、制度導入を3つのステップに分けて具体的に解説します。

  • 対象者と期間のルール設定:業務適性と実施範囲の明確化
  • 申請フローと規程の整備:就業規則と運用ルールの策定
  • パイロット実施と効果測定:小規模試行によるPDCAサイクル

ステップ(1)対象者と期間のルール設定

まず初めに、誰が・いつ・どのくらいの期間ワーケーションを行えるのか、基本的なルールを決めます。

いきなり全社一斉に始めるのではなく、まずはスモールスタートを意識しましょう。

例えば、以下のように範囲を絞るのがおすすめです。

  • 対象者:まずはテレワークに慣れている部署や、自己管理能力の高い勤続1年以上の正社員などに限定する。
  • 業務内容:場所を選ばずに完結できるデスクワーク中心の業務から試す。
  • 期間:業務への影響が少ない閑散期や、夏季休暇と組み合わせて実施する。利用日数も「年間10日まで」のように上限を設ける。

大切なのは、最初から完璧な制度を目指さないことです。

まずは小さな範囲で試しながら、徐々に拡大していくのが成功への近道です。

ステップ(2)申請フローと規程の整備

ステップ1で決めたルールを、実際の運用に乗せるための手続きを整備します。具体的には、「申請・承認フロー」と「就業規則への明記」の2つです。

  • 申請・承認フローの確立:「実施日の2週間前までに、指定のフォーマットで直属の上司に申請し、承認を得る」といった、誰が見ても分かるシンプルな流れを決めます。
  • 就業規則への明記:前の章で解説した通り、対象者、費用負担、セキュリティルールなどを就業規則に追記します。特に、柔軟な働き方を可能にするフレックスタイム制(特にコアタイムなし)の導入は、ワーケーションと非常に相性が良いため、併せて検討すると良いでしょう。

ここでも、経団連のモデル規程などが雛形として役立ちます。

ステップ(3)パイロット実施と効果測定

ルールとフローが固まったら、いよいよ実践です。

ただし、いきなり全社に公開するのではなく、まずは少人数での「お試し導入(パイロット実施)」から始めましょう。

これにより、本格導入する前に課題を洗い出し、制度を改善することができます。

【パイロット実施のポイント】

  • 規模:2〜5名程度の少人数で、期間は2泊3日など短期間から。
  • 参加者:テレワークに慣れているなど、新しい試みに前向きな従業員に協力してもらう。
  • 効果測定:実施前と後で、生産性(自己評価でも可)や満足度に変化があったかアンケートを取る。参加者や上司へのヒアリングで、良かった点や困った点を具体的に集めることが重要。

ここで得られた成功事例や改善点を社内で共有することで、全社展開への理解と協力を得やすくなります。

自治体によっては導入支援金などの制度もあるため、活用を検討してみましょう。

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まとめ

まとめ
まとめ

ワーケーションは生産性や従業員満足度を高め、企業と従業員の双方に大きなメリットをもたらす働き方です。

導入にはセキュリティや勤怠管理、費用負担といった現実的な課題が伴いますが、これらは明確なルール設計や段階的な導入プロセスで乗り越えることが可能です。

休暇の取得促進や通勤負担の軽減で、従業員のストレスを抑えることも期待できます。

まずは本記事で解説した手順に沿って小規模な試験導入から始め、効果を測定することが成功の鍵となります。計画的に進め、自社に合った新しい働き方を実現させましょう。

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