退職届を出す前に! 自己都合退職のポイントと失業保険について解説


退職には、やることや手続きが多く煩雑です。それだけでなく、正しい手順を踏まなければ、もらえるはずの手当をもらえない、納めなければならない税金を滞納してしまうといった事態になりかねません。

この記事では、自己都合退職をする際にやることや失業保険の手続きについて詳しく解説します。

自己都合で退職の意思決定をしてからやること5選

親の介護や、結婚、出産などさまざまな理由によって会社を退職しなければならないときがあります。自己都合で退職をする際に、退職の意思決定をしてからやることを5つご紹介します。

なぜ退職するのか

人それぞれに、退職したいと考える理由があるでしょう。どのような理由であっても、なぜ退職するのかを説明できるように準備をしておくことが重要です。退職理由は次の就職にも関係してくるため、誰に聞かれても明確に説明できるようにしておきましょう。

いつ退職するのか

退職を決意して、はじめにすることが退職する日程の決定です。
退職にはやるべきことが非常に多くあります。たとえば、自分の担当していた業務の引き継ぎや、退職した後の社会保険の手続きなどがあげられます。
必要な手続きにかかる時間や離職後にかかる費用を考えて、退職日を設定しましょう。

退職日まで何をやらなければならないのか

退職日を設定したら、それまでに何をしなければならないかをまとめます。必要な手続きの内容を整理したり、返却が必要な備品をまとめたりしておきましょう。
前述したとおり、退職にはやることがたくさんあります。急な事情で退職しなければならない場合でもやり忘れがないように、最低限のやることチェックシートを作っておきましょう。

次の就職はどうするか

退職をするときは、次の就職先をどうするか考えておくことが大切です。理想は次の就職先が決まってから退職することですが、決まっていなくてもある程度方向性を決めておくことをおすすめします。また、退職後でなければ就職活動が難しい場合でも、転職サイトに登録したり、履歴書を作成したり、できることを見つけて準備しておきましょう。

次の就職までの費用をどうするか

退職を決意したら、退職後の費用について考えます。生活費だけではなく、地方税や保険、年金などの費用が発生する場合があります。支払えないという事態に陥らないために、どのタイミングで何の支払いが発生するかを事前に把握しておきましょう。

退職に向けてのステップ

ここからは、退職をするために必要なステップについて、具体的にご紹介します。退職までの流れや、あらかじめ決められているルールを理解し、スムーズに退職ができるように準備しておきましょう。

1. 退職の意思を会社に示す

民法では、会社側に退職の意志を示した2週間後に雇用関係が終了すると定められています。つまり、遅くても2週間前には会社側に退職する旨を伝える必要があります。しかし、業務の引き継ぎや後任の選定など、会社側にも都合があるため、可能であれば1〜2ヶ月ほど余裕をもって退職の意志を伝える方がよいでしょう。

ただし、明示された労働条件が実際と違った場合や、本人、家族のケガや病気が原因の場合は即日退職が可能です。
このように、労働者と雇用側で同意があれば、2週間前ではなく即日退職をしても法的にも問題がありません。やむを得ない事情であったり、事実と異なる労働条件を出されたりした場合は、無理をせず即日退職しましょう。

2. 退職願または退職届を提出する

退職の意思を伝えたら、退職願または退職届を提出します。
法律では、退職願や退職届は書類として提出することを義務付けられていません。そのため、出さなくても法律違反にはなりませんが、退職の意思を示した事実を記録として残すメリットはあります。

また、退職届は従業員の一方的な意思表示であり、雇用側は拒否できないもの、退職願いはあくまでも希望であり、雇用者側には拒否する権利があるという解釈があります。会社によってはいずれかの提出を求められる場合もあるため、事前に確認しておくことがおすすめです。
ほかに、よく使われる辞表という言葉は取締役以上の役員や、公務員が退職する際に提出する書類です。混同しないようにしましょう。

退職届の書き方とは?退職願との違いや退職までの流れについて解説

3. 業務を引き継ぐ

退職届を提出したら、業務の引き継ぎの準備をします。
業務の引き継ぎ作業に関しても法的な義務はありません。そのため、会社側に強要されたとしても拒否できます。また、退職後に会社側から引き継ぎについて連絡があっても対応する必要はありません。

ただし、やむをえない事情がない場合は、しっかりと引き継ぎすることをおすすめします。
引き継ぎにかかる期間や方法は、仕事内容や後任者が有無などによって変わります。想定外のことが起こる可能性も高いため、退職の3日前には完了するスケジュールで考えるとよいでしょう。
100%完全な引き継ぎは難しいため、ある程度割り切って行うことも大切です。

退職に伴う手続き

退職の意思を固めて退職までの準備が済んだら、そのまま退職手続きに進みましょう。退職手続きには大きく分けて、会社に対する手続きと公的機関に対する手続きの2種類があります。
それぞれどのような手続きをすればよいのかを具体的にご紹介します。

会社に対する手続き

会社に対する6種類の手続きをご紹介します。

雇用保険被保険者証の受け取り

会社から、雇用保険被保険証を受け取る必要があります。雇用保険被保険者証とは、自分が雇用保険加入者であることの証明書です。
転職先でも同じ雇用保険がそのまま使われるため、忘れずに受け取るようにしましょう。

源泉徴収票の受け取り

源泉徴収票を受け取る必要があります。源泉徴収票とは、会社から年間で支払われた金額と、所得税の額が分かる書類です。
通常であれば退職から1ヶ月以内に送られてきます。こちらも転職時に提出が求められるため、必ず受け取りましょう。

年金手帳の受け取り

年金手帳を会社に保管してもらっている場合は、受け取る必要があります。自分で保管している可能性もあるため、事前に確認しましょう。
年金手帳とは、会社を通して収めていた年金について記録してある手帳です。

健康保険被保険者証の返却

健康保険被保険者証を返却しなければなりません。健康保険被保険者証とは、いわゆる健康保険証と呼ばれるカードのことです。
会社に勤めている場合、会社を通して健康保険に加入している形になるため、退職したら返却が求められます。

備品の返却

その他、会社から借りていた備品の返却も忘れないようにしましょう。たとえば、ノートパソコンや携帯電話、タブレットなど会社から支給されていたものは返却が必要です。
会社側でリストを作成してもらえる場合もありますが、そうでない場合は自分でリストを作成し返却漏れがないようにしましょう。

離職票の受け取り

離職票の受け取りを行います。離職票とは、退職者がハローワークで求職を申込む際や、雇用保険の基本手当を受け取る際に必要となる書類です。

通常であれば退職日から10日以内に発行され、会社から郵送で送られてきます。
ただし、退職時に有給を消化する場合、最後の出社日から書類の発行まで期間が空いてしまいます。もし、ハローワークでの手続きを急ぎたい場合は、退職証明書の発行を依頼しましょう。
次の職がすでに決まっている場合であれば離職票は不要です。焦らず離職票が届くまで待ちましょう。

公的機関に対する手続き

公的機関に対する4種類の手続きをご紹介します。

健康保険の切り替え

会社に対する手続きが完了したら、公的機関に対する手続きをします。なかでも大切なものが、健康保険の切り替え手続きです。退職の翌日から無保険扱いになるため、次の就職まで期間があく場合は切り替える必要があります。自分の状況に合わせて、後述する3つから選択し、手続きをします。

1つめの方法は国民健康保険への加入です。国民健康保険とは会社への所属とは関係なくすべての国民が加入できる保険です。会社の健康保険に入れない場合に使用します。
2つめの方法は、前職の健康保険をそのまま使用する任意継続被保険者制度を利用することです。
3つめの方法が、一時的に家族の扶養に入ることです。上記の2つが難しい場合は、この方法を選択することがおすすめです。

それぞれ必要な手続き期間が異なるため、事前に確認しておきましょう。

年金の切り替え

退職から次の就職まで、1ヶ月以上期間が空いてしまう場合は、年金の切り替えも必要です。次の2つの方法から自分の状況に合うものを選び手続きしましょう。

1つめは第一号被保険に切り替える方法です。これは国民年金保険の加入者のことを指します。会社などに務めていない20歳以上60歳未満のすべての国民が加入する国民年金制度のことです。退職してから14日以内に手続きをしましょう。
2つめは第三号被保険者に切り替える方法です。これは厚生年金に加入している家族の扶養者に入ることをいいます。こちらはできるだけはやく手続きをする必要があります。

住民税の納付

会社に在籍中は給与から自動で天引きされていた住民税を、退職後は自分で支払い手続きをしなければなりません。
納付方法は退職時期によって、納付金額は地方自治体によって異なります。場合によっては減額や免除されることもあるので一度自治体に相談してみましょう。
納付額や納付時期は早めに確認し、いざ支払うときになって焦らないように準備しておくことがおすすめです。

失業保険の手続き

退職してから次の就職が決まるまでに期間があく場合、その間の生活費に悩む方も少なくありません。失業保険を受け取れる場合は、活用するとよいでしょう。

失業保険の給付には3つの条件が必要です。
1つめは働く意思と能力があるのに、働けない「失業状態」であること。
2つめは退職日までの2年間、通算12ヶ月以上雇用保険に加入していること。
3つめはハローワークに求職の申込をしていることです。
これら3つの条件を満たしているときのみ失業保険を受け取れます。また、退職が自己都合であるのか会社都合であるのかで、給付額や給付時期が異なります。どの程度変わるのか、何が理由で変わるのかを、具体的に理解しておきましょう。
事前に知っておくことで、自信の受け取れる最大の保険金額を受け取れるでしょう。

自己都合か会社都合かで失業保険はこんなに変わる

退職の理由が変わるだけで失業保険でもらえる額は大幅に変わります。違いを理解することでどちらのほうがお得であるかが分かるはずです。

自己都合退職と会社都合退職の違いを解説します。

給付のタイミングが遅くなる

自己都合退職の場合、給付のタイミングが遅くなります。自己都合退職であれば、2ヶ月の給付制限期間の後、最短7日で給付されます。
給付制限期間とは、失業保険料を一定期間受給できなくなることです。これは退職者が保険料の受給のみに頼り、怠惰になってしまうことを防ぐために設けられています。
一方で、会社都合の場合は給付期間制限期間を設けられておらず、最短7日で受け取れます。
このように、退職理由によって受給できるまでの期間が大幅に異なります。

給付される条件が変わる

給付される条件にも違いがあります。
自己都合退職の場合、退職日までの2年間、通算で12ヶ月以上雇用保険に加入していることが給付の条件の1つです。
そのため、たとえば1年で退職してしまった場合失業保険を受け取れません。一方で、会社都合の場合は退職日までの1年間、通算で6ヶ月以上雇用保険に加入していれば受給が可能です。
つまり、会社都合の方が受け取りやすいといえます。

給付の期間が短くなる

自己都合退職の場合、給付期間が短くなります。
自己都合退職の給付期間は最低で90日間、最大でも150日間です。一方で、会社都合の場合の給付期間は、最低で90日間、最大で330日間です。約2倍ほど給付期間に差があることが分かります。
たとえば正社員として8年間勤務していた45歳の方が退職したケースであれば、自己都合退職の場合、もらえる期間は90日間です。
会社都合退職であった場合、もらえる期間は240日間となります。

同じ条件だったとしても、会社都合か自己都合かだけで、ここまで差がひらきます。

自己都合でも失業保険をすぐもらうには

自己都合で退社した場合、失業保険をすぐに給付してもらうことは難しいといえます。ただし、場合によっては早期に受け取ることが可能です。

自己都合でもすぐに受給できる方法をご紹介します。

公共職業訓練を受ける

公共職業訓練を受けると、2ヶ月の給付制限が免除されます。
職業訓練とは雇用保険に加入している人すべてが受けられる再就職を目指すための訓練のことです。テキスト代は実費負担ですが、訓練そのものは無料です。
また、訓練が終了するまで、失業保険の給付も延長となり、受給期間を伸ばすことができます。条件によっては受講手当や通所手当が支給されるため、受給額を増やせる可能性もあります。
ただし受講前には審査があり、落ちることもあるため、必ず使える手段とは言い難いでしょう。
審査に通った場合は、手当を受け取れるだけでなく再就職に役立つことからも、有効な手段だといえます。

会社都合での退職を認めさせる

退職理由が会社側にあったことを証明することもひとつの方法です。たとえば、退職直前の6ヶ月間に以下の条件が該当する事柄があった場合、会社都合退職にできます。

・月45時間以上の時間外労働が3ヶ月連続で続いた場合
・月100時間以上の時間外労働があった場合
・連続する2ヶ月以上で時間外労働の平均が80時間以上だった場合

ただし、労働状況について客観的な記録を自分で用意しなければなりません。
また、他の方法として、ハローワークや法律の専門家などに相談することが挙げられます。
失業保険のことを考えると、自己都合で退職するよりも会社都合で退職できた方が安心できるでしょう。ただし、無理に会社都合退職にしようとすると雇用側と法的な争いとなる可能性もあるため、慎重に判断する必要があります。

まとめ

退職をする際は、必要な手続きや退職後のこと、失業保険についてなどを事前に確認してから行いましょう。
煩雑な手続きが多く気が遠くなりますが、新しい未来に向けて自分が損をしないように、しっかりと事前に準備しておくことがおすすめです。

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