失業保険のもらい方は?条件をふまえた受給金額シミュレーションも記載


仕事を辞めたとき、もらえると嬉しい失業保険ですが、その仕組みについてはきちんと理解している方は少ないかもしれません。
失業保険はもらえる人ともらえない人、またもらえるとしてもその日数や金額は人それぞれです。
この記事では失業保険についての正しい知識と、そのもらい方や制度について詳しく解説します。

失業保険の正式名称は「雇用保険の基本手当」

実は失業保険は正しい名称ではありません。
失業保険といえば意味は通じますが、その正式名称は「雇用保険」であり、雇用保険の「基本手当」を受給しているというのが正しい言い方です。
失業したときにもらえる保険という認識のせいか、失業保険という言い方が一般的に浸透しています。
ハローワークに相談する際に「失業保険」と言っても通じますが、「雇用保険の基本手当」について相談したいと伝えるほうが正確でしょう。
正式名称は雇用保険の基本手当とお伝えしましたが、混乱を防ぐため、ここからの表現も「失業保険」として記載します。

失業保険の受給条件について

失業保険はどのような理由で退職したのかによって、支給期間が異なります。
退職理由は3つに区分されているため、自分がどの理由に該当するのか、事前に確認しておきましょう。
また、会社に自己都合退職と判断されても、会社都合退職になる場合もあるため、ハローワークにも相談しておくことをおすすめします。

自己都合による一般離職者の場合

ほとんどの場合には、こちらに当てはまることが一般的です。
文字通り自己都合による退職者に該当するもので、結婚や引っ越しによる退職、「自分には合わない会社」「疲れたためしばらく休みたい」なども自己都合と解釈されます。
自己都合退職は他の退職パターンと違い、待機期間と給付制限期間が設けられています。
会社からの命令ではなく、自分で決めた退職のため、それなりの用意があることを前提にされていることが理由です。
2〜3ヶ月の間は失業保険が支給されないことを理解しておきましょう。
また、この期間に就職活動をし、再就職した場合、失業保険はもらえません。

自己都合による特定理由離職者の場合

自己都合であっても例外的に特定理由離職者になる場合があります。
契約満了になり、契約更新を希望したにも関わらず会社から雇い止めにあったときや、働く意欲はあっても健康や家庭の事情で働けなくなってしまったときなどです。
この場合には支給までの待機期間はなく、すぐに失業保険を受給できます。
特定理由離職者に該当するかどうかの最終的な判断はハローワークが決定するため、
早い段階から自身の状況についてきちんと相談することが大切です。

会社都合による特定受給資格者の場合

会社都合による特定受給資格者に該当する条件は、倒産や解雇など、自分の意志とは関係なく退職せざるを得なかった場合であることです。
交わした労働契約と業務内容に著しい違いがあった場合も該当します。
自己都合退職と比べると待機期間もなく、すぐに支給されるところがポイントです。
再就職の準備をする時間もないままに退職することになってしまうため、このような手厚いサポート制度にしています。

実際に受け取れる受給金額について

雇用保険で受給できる1日当たりの金額が「基本手当日額」です。
年齢や年収、離職理由によって基本手当日額が変わります。
「基本手当日額」の算定式は、「賃金日額」×「給付率」です。
ここで、「賃金日額」がでてきます。
「賃金日額」は基本手当日額の元となるもので、直近6ヶ月に得た賃金の1日あたりの単価額です。
6ヶ月は180日のため、得た金額を180で割ると1日あたりの金額が算出されます。
この金額には、残業・通勤・住宅手当は含み、賞与・退職金は含まれないことを覚えておきましょう。
「給付日数」は文字通り給付される期間、日数のことです。
こちらも、離職理由や年齢、勤務年数によって異なります。

「基本手当日額」「賃金日額」の上限金額・下限金額

上述した「基本手当日額」と「賃金日額」には、それぞれ上限金額、下限金額が設定されており、日本の経済事情を考慮して定期的に見直しをしながら決定されます。
それぞれの上限額は離職時の年齢によって変わります。
金額は以下の通りです。
30歳未満 6,835円
30歳以上45歳未満 7,595円
45歳以上60歳未満 8,355円
60歳以上65歳未満 7,177円
全年齢において、賃金日額の下限額は2,657円、基本手当日額の下限額は2,125円です。
参考「厚生労働省:賃金日額・基本手当日額の変更について

「基本手当日額」の年齢別給付率

一般的に、賃金の低い人ほど割合が高く設定されています。
基本手当日額は年齢ごとにその上限額が決められており、現在は以下の通りです。

離職時の年齢 賃金日額(w) 給付率 基本手当日額(y)
29歳以下 2,657円以上5,030円未満 80% 2,125~4,023円
5,030円以上12,380円以下 50〜80% 4,024~6,190円(*2)
12,380円超13,670円以下 50% 6,190~6,835円
13,670円(上限額)超 6,835円(上限額)
30~44歳 2,657円以上5,030円未満 80% 2,125~4,023円
5,030円以上12,380円以下 50〜80% 4,024~6,190円(*2)
12,380円超15,190円以下 50% 6,190~7,595円
15,190円(上限額)超 7,595円(上限額)
45~59歳 2,657円以上5,030円未満 80% 2,125~4,023円
5,030円以上12,380円以下 50〜80% 4,024~6,190円(*2)
12,380円超16,710円以下 50% 6,190~8,355円
16,710円(上限額)超 8,355円(上限額)
60~64歳 2,657円以上5,030円未満 80% 2,125~4,023円
5,030円以上11,120円以下 45~80% 4,024~5,004円(*3)
11,120円超15,950円以下 45% 5,004~7,177円
15,950円(上限額)超 7,177円(上限額)

「給付日数」

給付日数は以下の通りです。
会社都合の場合

被保険者であった期間 1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 90日 120日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 90日 150日 180日 240日 270日
45歳以上60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 90日 150日 180日 210日 240日

自己都合退職の場合

被保険者であった期間 1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
全年齢 90日 90日 120日 150日

特定理由離職者の場合

被保険者であった期間 1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
45歳未満 150日 300日 300日 300日 300日
45歳以上65歳未満 150日 360日 360日 360日 360日

参考「厚生労働省:ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数

受給金額シミュレーション

失業手当の計算の仕方は次の通りです。
①賃金日額=退職前6ヶ月の給与÷180
②基本手当日額=賃金日額×給付率
③基本手当総額=基本手当日額×給付日数
基本手当日額には上限額・下限額 が定められています。

例をあげて計算してみましょう。
退職前6ヵ月の給与が216万
離職した年齢が46才
自己都合退職の勤務年数15年と仮定
まずは賃金日額について計算します。
賃金日額=2,160,000÷180=12,000
46歳の上限金額は15,740円のため、上限金額には達しておらず1万2千円が賃金日額です。
次に基本手当日額を計算します。
賃金日額1,2000×給付率50%=6,000
基本手当日額は6千円です。
最後に総支給額を計算します。
基本手当日額6,000×給付日数120=720,000
総支給額は72万円です。
このシミュレーションは概算のため、詳細な金額についてはハローワークにお問い合わせください。

失業保険を受給する際の注意点

失業保険を受けるにあたって、気を付けなければいけないポイントがあります。
それは、待機期間中のアルバイトについてです。
受給資格が決定した後、7日間の待機期間があります。
この期間だけは、アルバイトや報酬を得るような業務に従事しないよう十分に注意してください。
ちなみに、この待機期間の前後期間では、条件付きでアルバイトができます。
アルバイトの申告区分は2つあり、1日4時間を越える労働と、1日4時間に満たない労働です。
それぞれの場合で、もらえる失業保険への影響が異なりますので、アルバイトをする場合は必ずハローワークに相談しておきましょう。

失業保険の受給対象外となる人

失業保険の受給対象外となる人もいます。そもそも対象となるためには、退職以前の2年間で、雇用保険の被保険者であった期間が通算12ヶ月以上必要です。
例外として、会社都合で退職した人や正当な理由による自己都合で退職した人は、退職以前の1年間に通算6ヶ月以上の被保険者期間があれば問題ありません。
また、以下のような場合は対象外です。
・31日以上の雇用見込みがないこと
・1週間の所定労働時間が20時間未満であること
上記に一つでも当てはまる場合は失業保険を受けられません。
ただし、例外もあります。
自分が対象者かどうか分からない、確認が難しい場合は、管轄のハローワークへ相談してみましょう。

失業保険の手続きの流れ

ここからは失業保険の手続きの流れを解説します。
退職時に署名する「離職証明書」は会社がハローワークに提出する書類ですが、離職理由などの記載内容に間違いや相違がないか、必ず確認してください。
離職理由次第で支給金額や支給日数が変わるため、とても大切な部分です。
退職後、「雇用保険被保険者離職票」を会社から受け取ってください。
離職票は2枚あり、郵送の場合と直接手渡しの場合がありますが、郵送の場合は手元に届くまでどの程度かかるのか、会社に確認しておくことをおすすめします。
何かしらの理由により会社から離職票がもらえない場合は、管轄のハローワークにご相談ください。
その後、必要な書類をそろえて管轄するハローワークで「求職の申込み」を行い、「雇用保険被保険者離職票」を提出します。
受給資格が決定したら受給説明会の日時が指定されるため。必ず出席してください。
受給説明会には必ず出席してください。
この説明会で1回目の「失業認定日」が知らされます。
原則としてその後4週間に1度ごとに、失業の認定を行います。
ここまでが手続きのおおまかな流れです。
そして基本手当の支給を受けるためには、認定対象期間の間にやらなければいけないことがあります。
前回の認定日から今回の認定日の前日までに、2回以上の求職活動の実績を残すことです。
求職活動の実績になるものは、以下に示します。
・求人への応募
・ハローワークが行う、セミナーの受講
・求職活動方法を指導するセミナーの受講
・公的機関が実施する職業相談の受講
・再就職に資する各種国家試験の受験

他にも該当するものがあるため、詳細については管轄のハローワークに確認しましょう。
これらを行うことで、失業の認定を受けた日から通常5営業日以内に、失業保険が振り込まれます。

失業保険の手続きで用意するもの

失業保険の手続きの際は以下の6点を用意する必要があります。
・雇用保険被保険者証
・離職票
・印鑑
・身分証明書
・証明写真(縦3センチ×横2.4センチ)
・貯金通帳もしくはキャッシュカード
雇用保険被保険者証と離職票は退職した会社に発行してもらう書類です。
雇用保険被保険者証は雇用保険に入っていたことを証明する書類、離職票は退職したことを証明する書類で、退職から10日前後で渡されます。
証明写真は2枚必要ですが、マイナンバーカードを持っている方は省略可能です。
通常の履歴書サイズとは異なるため、写真のサイズに注意しましょう。
身分証明書はマイナンバーカードを、持っていない場合は個人番号が確認できる書類と、運転免許証でも問題ありません。
通帳もしくはキャシュカードは、失業保険の受け取り口座を登録する際に必要です。

令和2年以降の制度改正について

令和2年以降、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、新たに臨時特例に関する法律がいくつかできました。
新型コロナウイルス感染症の影響で休業させられた労働者を対象にして、休業中に賃金を受けとれなかった者に休業支援金を支給する事業を行うとともに、失業保険の基本手給付日数の延長をするという制度改正です。
その他、以下のような変更もあります。
・被保険者期間として認められる期間の減少
・自己都合により退職した人の待機期間の短縮

まとめ

この記事では、失業保険について解説しました。
申請には事前準備が必要なため、退職後はできるだけ早めに最寄りのハローワークへ相談し、申請することを心がけましょう。
会社から渡される書類は、場合によっては届くまでに、想像よりも時間がかかってしまうこともあります。
受付の期限を過ぎて申請ができなくなってしまうことがないよう、十分に確認した上で計画的にすすめましょう。
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