星野リゾート/サービス・接客・調理・ブライダル/軽井沢町


今回は、軽井沢に星野温泉を開業してから、全国各地にあるリゾートホテルや温泉旅館を次々に再生し、世界で星野ブランドを展開する「株式会社星野リゾート」の魅力に迫ります。

取材時期:2017年2月23日

このシリーズは、ビジョンが明確で長野県の魅力的な会社を紹介します。ヒューマンインデックスの独自取材により、会社の方向性・経営者の考え方・一緒に働く社員の様子・福利厚生制度などをインタビューし、長野県へIターンやUターン転職をお考えの方から、長野県の地元で求人情報を探している方へ向け発信します。

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星野リゾートとは

星野リゾートは、全国33施設のリゾート施設や温泉旅館を運営する会社です。その土地の個性やお客様の「旅の嗜好」に合わせたブランドを展開しており、それぞれのターゲットやサービススタイルも様々です。「星のや」「界」「リゾナーレ」という3つの宿泊ブランドを中心に、ブライダル事業やスノーリゾート事業の運営も行っています。

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星野リゾートの歩み

軽井沢に隣接する佐久の地で生糸業を営んでいた星野国次(初代経営者)は、別荘地として発展し始めたばかりの軽井沢に温泉が保養の重要な要素になると考え、明治37年に星野温泉の掘削を開始いたしました。

そして大正3年に星野温泉旅館を開業したのが、星野リゾートの始まりです。温泉掘削や水力発電所の設置などを通じて旅館機能が充実したことにより、多くの文化人が訪れるようになりました。

大正10年から始まった「芸術自由教育講習会」には、内村鑑三、与謝野晶子、島崎藤村、北原白秋などが集い、当時の文化を牽引する場となったのです。

昭和中期、星野温泉に中西悟堂が滞在し、2代目経営者である星野嘉政に「今までは野鳥を食べていたが、これからは見て楽しむ時代になる」と話し、それは衝撃的な発想であったと伝えられています。

さらに星野エリアと隣接する国有林を、世界的にも多種類が生息する野鳥の宝庫であると指摘されました。その意を受けて、中西悟堂とともに生態系の保護活動を働きかけた結果、「国設 軽井沢野鳥の森」と指定されます。探鳥会と呼ばれたガイド付ツアーはこの時期にスタートし、ピッキオのエコツーリズムへとつながります。

旅行需要が減少した戦中戦後、高度経済成長にともなう国内旅行全盛期、そして海外旅行ブームを経て、軽井沢は多くの観光客が訪れる場所に変わっていきます。やがて、1987年施行のリゾート法を契機にリゾートや旅館には新規参入が増える時代を迎えました。

星野リゾートはこれを機に現在の経営方針に移行、事業内容も運営分野に特化し、企業ビジョンを「リゾート運営の達人」と設定、お客様のご満足を重視しながらも十分な利益を確保できる運営の仕組みづくりに取り組みました。

こうした独自の仕組みを活かし、2001年からリゾートや旅館の運営事業に取り組み始めると同時に、軽井沢では星野温泉旅館の改築計画を進め2005年7月に「星のや 軽井沢」を開業。その後2009年に「星のや 京都」、2012年「星のや 竹富島」とその土地独自の価値観、生態系、文化を守りながら、時代に合わせた日本のサービスを提供してきました。

国内では「星のや」ブランドの他、温泉旅館ブランド「界」、デザイナーズリゾートの「リゾナーレ」の3ブランドを全国に展開しています。

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星野リゾートのビジョン、他社との差別化

星野リゾートのビジョンは、「Hospitality Innovator(ホテル運営の変革者)」です。

具体的には、西洋型サービスの真似ではなく、もてなす側のこだわりやメッセージなど”日本のおもてなしの本質”を魅力として進化させる「日本旅館のメソッド」です。

西洋型の基本的なサービススタイルが「主人」>「執事」の上下関係であるのに対し、“おもてなし”は、「主人」=「お客さま」が対等であるという、主客対等の考え方が基本にあります。

主客対等を成しえているのは、もてなす側ともてなされる側の背景にある文化や教養を共有できている、という関係性です。この関係性をベースに、主人は趣向を凝らし、お客さまはそれを楽しみに行くのです。

この“おもてなし”の精神を私たちは、「日本旅館のメソッド」として実現しようとしています。全国各地で日々お客さまに接しているスタッフが、おもてなしの素材(その土地・その季節の魅力)を見つけ出し、丁寧に磨き上げ、お客さまに提供しています。

日本旅館メソッドは旅館事業だけでなく、ホテル、ブライダル、スノーリゾートでも同様に発揮できるものです。私たち一人ひとりが、もてなしの“主人”であるという自覚のもと、お客さまにこの時、ここでしかできない体験をお届けする役割を担っています。

また、日本のホテルや旅館は生産性が低いと言われてきた課題と向き合い、根本的に運営の仕組みに変革を起こす、私たちの旅館やホテルで中心となる「サービスチーム」は最重要部門のひとつです。

サービスチームは、サービスを提供するだけでなく、提供に至るまでの調査、企画まで行うマーケティングチームとなることをコンセプトにしています。

多くのメーカーを中心とする企業で、販売、製造、商品開発の機能が分かれていることに対して、私たちの理想とするサービスチームでは、商品開発、製造、販売が同時に行えるような仕組みを取り入れています。

さらに、いろいろな個性を持ったメンバーが集まり、自由な意見交換や議論しながらチームで新たな魅力や仕組みを創造していく「組織文化」も大切にしています。

フラットな組織文化の中で全体を見渡しながら年齢や性別、国籍や職位に関係なく対等な関係の中で議論し、経営判断を行なっていきます。

フラットな組織では一人ひとりの自由な発言を大切にし、「誰が言ったか」ではなく「何を言ったか」を重視します。“星野リゾート”というチームの競争力を高め、世界に挑戦していくための戦略として、フラットな組織文化を構築し、進化させていきたいと考えています。

これらの3つのキーワードを進化させ、”星野リゾート”というチームで世界で戦っていく運営会社になりたいと考えています。

経営者の考え方

2016年、星野リゾートは、長野県軽井沢町で最初の旅館を開業して102年目を迎えました。この100年と少しの間に日本の観光も世界のホテル業界も大きく変化しましたが、今後の100年はもっと大きな変革の時代をむかえようとしています。

その行方は定かではございませんが、『100年後に旅産業は世界で最も大切な平和維持産業になっている』と私は考えます。世界の動きに大きな影響を与えている民意、その民意に少なからず影響を与えるのが旅であるという仮説だと思います。

国内各地を訪れることで自らの国を深く理解することができる、外国に行くことで他国の文化や豊かさを感じることができる、そして旅をすることでその場所に住んでいる人たちと触れ合い、友人になることができます。

『世界の人たちを友人として結んでいく』、それは他の産業にはできない、旅の魔法なのです。星野リゾートはそういう視点を持ち、次の100年の事業に取り組んでいきます。

人と人が国境を超えて理解を深め合うことに貢献することで、国と国が平和を維持する力になっていく。「ちょっと大袈裟だよ」と思うかもしれませんが、次の100年を考える今、私たちの仕事にはそういう役割が託されていると考えたいのです。

壮大な夢は持ちつつも組織はまだまだ未熟です。お客様、お取引会社様、そして地域の皆様のご意見やお叱りをいただきながら成長する必要があると思っています。「夢は大きく、運営は地道に」を心がけ、日々努力して参ります。

今後の展開は?

2013年7月、日本で初めて観光に特化した不動産投資信託(リート)を立ち上げ、星野リゾート・リートとして東京証券取引所に上場させました。日本が東京オリンピックを控え、観光立国を目指す過程で、一般投資家が観光産業の成長に投資いただける環境を整えることは重要であると考えています。

また、2016年に「星のや東京」、2017年には「星のやバリ」を開業致しました。日本発のホスピタリティサービスの確立を目指して、今後も世界にどんどん発信していこうと考えています。

働き方、研修制度や福利厚生について

星野リゾートでは、自分のキャリアは自分でつくることを目標としています。誰かから命ぜられるのではなく、自ら選択できる環境と力を持てるよう日頃からさまざまな支援をしています。

1.WILL(個人の思い)

キャリアの描き方は、直線的、単一ではありません。 私たちは個々人がそれぞれの価値観、ライフステージ、スキルに応じて多様に描けることが大切だと考えています。

誰かが命じるのではなく、自分が決める。そのために必要なのは、個人の思い。キャリアは一直線である必要もなく、スピードも幅も様々。私たちは、そんな個々人の多様な思いを大切にしたいと考えています。

2.SKILL(選択肢を拡げる武器)

自分が思い描くキャリアを築いていくためには、思いだけでは足りません。選択肢を拡げるために必要なスキルの習得を積極的に支援しています。

星野リゾートの研修制度の中で最も特徴的な仕組みが、個人が自らの時間を投資して受講するビジネススクール『麓村塾』です。自らが描くキャリアに応じてサービスの幅を広げる「文化講座」や、ビジネススキルを上げる「ビジネス講座」、地域の魅力への知見を深める「地域文化講座」など全国各地で開催されるバラエティーに富んだ100以上の講座から受講できます。

講座内容は、マーケティング、パソコンリテラシーといった基礎的な講座から、戦略立案、組織マネジメント、落語や温泉、ワイン、方言、歴史探索など、実際の業務をケースにすぐに役立つ講座を中心に構成しています。

また、人事評価は一方的に評価を伝えられる場ではなく、自らの課題を明確にするための“話し合いの場”と考えます。結果のみを見るのではなく結果までのプロセス、行動を振り返り、どのような行動を今後とっていけば良いのか、育成のツールとしての話し合いを重視しています。評価基準、評価結果はオープンにフィードバックされ、結果は賞与や翌年の昇給に反映されます。

さらに、新たに入社したスタッフが組織文化を理解し、スピーディに融合できるよう、各組織にはチューターが配置されています。チューターは、業務の指導だけではなく、新入社員が安心してスキルを習得、パフォーマンスを発揮できるよう生活面、精神面、業務面からサポートを行います。

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3.CHANCE(キャリアを実現する機会)

自らの思いに基づき、キャリアを描き、スキルを習得する。習得したスキルを発揮する場所も与えられるものではなく、自らの力で掴めるようチャンスの場を提供しています。

例えば、各施設のUD(ユニットディレクター)や総支配人は立候補によって決定します。立候補したスタッフは自ら運営戦略や目標を立案し、全国規模で開催される全社プレゼンテーション大会(年2回開催)にてプレゼンを行います。

これはテレビ会議を通じて全国に生中継され、各地で聞いているスタッフからのアンケートなどで次期UD・総支配人が決定される仕組みです。早いスタッフでは、入社2年目から立候補する人もいます。

新規施設の開業スタッフや、サポート系ユニット(営業系および経営企画、財務、人事、情報システム、施設管理など)への配属は公募制となっています。もちろん誰でも手を挙げることができます。年に数回全スタッフに募集内容が告知され、希望者は社内選考を経て、配属が決定されます。

産前産後の休暇や、お子さんが1歳6ヶ月に達するまでの期間、育児休暇が認められています。また職場復帰に際しては、仕事と育児の両立が継続できるように、業務内容や勤務時間については相談した上で決定します。

育児や介護など、それぞれのライフステージに合わせて、職場で無理なく活躍できるよう、組織全体でサポートする環境が整えられています。

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星野リゾートが求める人物像は?

星野リゾートは人材採用に「個性」を求めます。これまでどのように育ち、何を見て、何を考え、いまのあなたがあるのかを知りたいと思っています。

いわゆる「就職活動」や「転職活動」に代表される常識には興味がありません。なぜなら星野リゾートが追い求めるサービスには、明確な答えがないからです。一人ひとりがそれぞれにサービスの本質を追求し、試行錯誤を繰り返していかねばなりません。

日常業務のマニュアルは徹底していますが、その先にある「出会いへの欲求」を満たすためには、一人ひとりが日々考え続けていかなければなりません。

個のアイデアは、それがたくさん集まれば集まるだけ、チームの力になります。チームや組織に力を与えてくれる、あなたの個に、出会いたいと強く願っています。

もちろん異業種でキャリアを積んできた方も歓迎しますし、実際各施設のサービスチームで働いております。経営コンサルティング会社、百貨店、IT、メーカーなど違う経験してきたからこそ、新しい視点や気づきが反映され、よりチームを強くすることができると考えています。

星野リゾートの求人一覧

※星野リゾートでは、喫煙者は作業効率、施設の利用効率、職場環境における企業競争力の低下を根拠に採用しておりません。入社時に禁煙すると誓約すれば選考対象とします。

  • ブライダル

人生最大イベントのひとつである「結婚式」を、星野リゾートそれぞれのチームが連携してサポートします。
リゾートウエディングの魅力を伝え、マーケティングや、企画、顧客満足度などのノウハウやコミュニケーション力が磨かれるお仕事です。

  • 調理/調理補助

リゾート事業において「食」に対する期待は年々高まってきています。
私たちは国際コンクールで活躍するシェフを筆頭に切磋琢磨しながら確かな技術を磨いています。
同時に、食シーンの演出や新しい調理法の提案を行い、お客様の期待を超える料理提供を目指しています。

  • サービススタッフ

サービスチームでは、フロントや調理、客室清掃などお客様の動きに合わせて業務の内容を変えるマルチタスクという働き方をしています。
同時に、サービスだけではなく満足度調査からサービス改善を考える顧客満足度分析、日本文化や地域の魅力を活かした企画をする魅力創造などのプロジェクトを通じて、より魅力的な滞在を実現していきます。

※繁忙期など短期での就業も募集しています。
星野リゾートの”おもてなし”や”企業文化”に、まず触れてみたいという方は、コチラよりお問合わせください。

求人について、より詳しい情報は星野リゾートグループの採用サイトをご確認ください。
星野リゾートグループの採用サイト(企業ホームページ)

会社概要

社   名:株式会社星野リゾート
住   所:長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉2148番地
設立年月日:1951年(創業:1904年)

会社概要の詳細はコチラ(企業ホームページ)

この記事を書いた人

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