アイカム/金型製作・プラスチック成形/小諸市


今回は、金型製作・プラスチック成形の工場「株式会社アイカム」の魅力に迫ります。

取材時期:2016年11月25日

このシリーズは、ビジョンが明確で長野県の魅力的な会社を紹介します。ヒューマンインデックスの独自取材により、会社の方向性・経営者の考え方・一緒に働く社員の様子・福利厚生制度などをインタビューし、長野県へIターンやUターン転職をお考えの方から、長野県の地元で求人情報を探している方へ向け発信します。

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株式会社アイカムとは?

株式会社アイカムは、長野県小諸市に本社があり近隣の上田市や佐久市にも工場があります。またベトナムなど海外展開も行っている金型製作・プラスチック成形の製造会社です。

どんなことをしている会社ですか?

アイカムはプラスチック成形と金型製作の2つの事業からなる会社です。自動車機器の車載ワイヤーハーネスの生産は、2002年頃から世界トップシェアを持つ矢崎総業と取引を始め、今では国内で販売されるほとんどの新車にはアイカム製のコネクタが使用されています。また1987年の設立から培ってきた技術を持つ金型製作は、他社には真似の出来ない技術となり全国で取引をしています。

売上は直近6年連続で20%ずつ伸びており、2016年6月の決算で33億円、2017年の決算では40億円を達成予定で、約200名の従業員と売上の割合は成形事業が9割を締めています。

アイカム航空写真

アイカムのビジョンはなんですか?

アイカムは「信頼性の構築」「不可能の排除」「結果が全て」を経営方針とし、徹底した品質にこだわり、人と自然に優しい工場作りを目指しています。また主要取引先である矢崎総業のサプライヤーの一員として「社会から必要とされる企業になる」という社是を実現をするため、「取引先メーカーから欠かせない企業になる」ことを中期ビジョンとして掲げています。

まずは取引先から「アイカムがいて助かった」と頼られる存在になり、次に「アイカムがいるからこの仕事ができる」と必要な存在になる。最終的には「アイカムがいなければ仕事が出来ない」と言われるような存在になりたいと考えています。そして地域の雇用を守ることにおいても社会にとっても欠かせない企業になることを目指しています。

アイカム長野県小諸市

アイカムの強み、他社との差別化は?

射出成形の中でも特に小型部品のコネクタを扱う車載事業は「人の命を預かる部品」のため、絶対に不良があってはいけません。そのため品質保証の国際規格であるISO9001:2008に基づいた品質マネジメントシステムを構築し、生産工程から検査まで非常に厳しく管理をしています。またコスト競争も多いのでどこよりも安く且つ安全な品質の部品を早く届けるため、365日24時間体制で生産ができるようにし、成形品は単品で月間6000~8000万個の部品を生産できる体制を整えています。

ただ製造業ではQCDの3つの要素は当たり前で、守れない企業には当然仕事は来ません。当たり前を徹底することは基本ですが、これからはプラスチック製品だけでなく、プレスで作った金属部品やゴム製品など複合部品が必要になります。しかしこれらを自社ですべてを行うことは設備や人的投資などリスクも大きく時間も掛かるため、当社はコンソーシアムを作りメーカーにPRできるような体制を構築しています。

競合の多い業界ですが、自社の生産体制およびコンソーシアムでの連携と早期に海外展開をしていることが、アイカムの強みであり、他社との差別化に繋がっています。

アイカム工場設備

アイカムの今後の展開は?

海外工場を持っていることは一つの営業ツールとして強みになりますが、以前のように安い労働力を求めて海外に展開することは考えていません。それは海外で製造して国内で販売するようなアウトインでは行き詰まってしまうと思うからです。今は海外で必要なものは海外で生産し、国内で必要なものは国内で生産する地産地消の生産形態をつくり、為替の影響も受けないようアウトアウトでの商流も考えています。

海外の展開については、タイやインドネシアを中心としたASEAN諸国をマーケットと考えており、ASEAN内での拠点展開は市場に合わせて進出をし、ただ海外だけではなく国内での利益も増やすため、バイバックではなく自分たちで取ってきた仕事に対してロイヤリティーをもらうなど、様々な方法で伸ばして行こうと考えています。

また海外工場を持っているからこそ国内で受注に繋がることもあり、海外と日本の両方で生産拠点を持つことで相乗効果を発揮し、それが本来の目的である日本国内で雇用する従業員を守り、維持することに繋がると考えています。

売上に関しては、2020年までに50億円を目標としベトナムなど海外拠点のグループを含めると5年後には100億円を目指しています。

アイカムベトナム工場

研修制度はありますか?どんな風に働きますか?

アイカムでは20代から30代の社員が多く、社員の成長がそのまま会社の成長に繋がると考えているため、人材育成にも力を入れています。具体的にはアイカムユニバーシティーというプログラムを組み、新入社員にはOff-JTやOJTからフォローアップ研修、中堅社員には高専の技術研修から中小企業大学校など外部講師を活用したリーダー研修、資格取得支援など、個人の能力に合わせて行う研修制度があります。

また5S研修やロス削減研修などのため外部講師を招き、社員全員で取り組む研修も用意しております。毎年テーマを決め新年会で発表したり報告したりすることで、社員の意識を高めると共に意見を聞きながら検証し成果のあがるように研修を考えています。

働き方に関しては、残業など労働時間の削減に取り組むというよりは、個人の希望に合わせて自由に選択できるようにしています。もちろん残業をしたくない人は残業せずプライベートの時間を優先することも良いと思います。ただ若い子育て世代も多く、出来るだけ多く稼ぎたい社員もいます。そんな社員にも一律で残業を月20時間以内に抑えるようにするのではなく、法律の範囲内で、体調を十分考慮した上で沢山働け稼げる環境を提供しようと思います。

有給休暇に関しては、取得できていますが、業務内容により取得できる人・できない人で分かれているのが現状です。これからは会社が主導となり取得を促し、全業務で取得しやすい環境を整えることが会社の役目だと思います。当社は年間休日が125日と多いほうではあります。この年間休日を減らして有給を計画付与し取得率をあげるという方法もありますが、単に取得率などの数字に囚われず、会社都合ではなく社員が取得したい時期に取れるように工夫していこうと思います。

また最近では週休3日という企業もあると聞きます。工場は365日24時間体制で稼働していますので交代制にはなりますが、金土日・土日月など土日に休みを繋げて週休3日にし、金曜や月曜は家族とは別で個人の時間を作ることで趣味に没頭したり、スキルアップのために勉強をし、生産性を向上させることも面白いかもしれません。ただそうすることで勤務日の労働定時時間は長くなり残業手当が少なくなります。会社都合で人件費を抑制することが目的になるのではなく、あくまでも個人の希望が叶うような環境を作って行きたいと思います。

アイカム製品

アイカム小林常務のエピソード

根幹にある考えは「仕事も遊びも今しか出来ないことを全力でやり抜こう」精一杯やらなかったことで後に後悔はしたくない。歳をとってからでも出来ることは今やらず、今しか出来ないことを最優先にして優先事項を決めている。取材をしていてとてもバイタリティあふれる小林常務のエピソードについて聞いてみました。

幼い頃から車が好きだったため長野工業高等専門学校を卒業。もともとはアイカムで働く気がなく、車の整備士や車メーカーで開発など作ることに携われればいいと思っていました。20代は車のレーサーをやっていて、それも中途半端にやるのではなく、全国で名が知れるようになりたい。と野心を持ち夢中で続けていると大会でチャンピオンになり、雑誌にも取り上げられたりイベントにも呼ばれるようになりました。

一通りやりきったと思えたとき、アイカムに社長である父が病気になってしまい、継いでくれないかと言われアイカムに入社しました。しかし7年ぐらい働いていると会社拡大など方向性で社長と意見が合わず衝突するようになり、一度会社を飛び出してしまいました。そして自分で車関係の会社を起業するに至りました。今思えばこの時期に会社を興し商売をしたことが大きかったと思います。もとは人と話すことは嫌いで先頭に立つことも苦手だったのですが、一人で営業や経理から経営全般をやらなければならない環境を経験できたことが、結果としてかけがえのない経験となりました。

2001年頃にアイカムで成形事業部を立ち上げたとき、父から電話があり手伝ってくれないかと話がありました。詳しく聞いてみると設備投資をし多額の借金をしていました。レーサーの頃からアイカムの支援があったからこそ続けれたことに恩義を感じ、どこかで恩を返したい想いはありました。また60歳を越えた父が借金をし勝負に出ている状況で、今しか出来ないと思いすぐに自分の会社を整理しアイカムに戻りました。

最初はわからないことも多くありました。金型の技術にしても成形のことに関しても、もちろん他社は教えてくれないので自分達でゼロから試行錯誤するしかありませんでした。相当な苦労もしましたが、諦めずチャレンジし続けることで出来るようになり、それが今のアイカムの技術となっていると思います。技術力が認められ上場企業とも取引できるようになりました。始めから出来る人はいないですし、コツコツと一つ一つの積み重ねが大事だと思っています。

そして自分が頑張ってこれたのも、やはり仲間や後輩が周りで支えてくれ、一緒に頑張ってくれた人がいるから出来たのだと思います。一人では決して出来なかったし、だからこそ今は自分に関わっている人みんなが幸せなって欲しいと思うようになりました。今後も自分と出会って良かったなと周りの人が思ってくれるように支えてたり一緒に努力していきたいです。

アイカム小林常務

アイカムが求める人物像は?

アイカムのベトナム工場を立ち上げて4年になりますが、中々うまくいかず厳しい状況が続きました。しかし最近ようやく大きな仕事が取れるようになり結果がついてきたと思います。リーダーの仕事は戦略を考え社員が実行したときに成功体験を積ませてあげることが重要かと思います。もちろん何でも成功する訳ではありませんが、やろうとしていることは信じて仕事を任せてみる。そして本人が納得して行動し、成功するようにサポートする、そんな支援をしたいと思っています。

人物像は、真面目に前向きにチャレンジできる人を求めています。取引先は世界の一流のメーカーですので、自分達も一流になれるよう壁にぶつかっても負けずに立ち上がれるバイタリティのある人がいいですね。最初から大きなことを言ったり愚痴をこぼしたりするのではなく、真面目にコツコツとチャレンジできる人が大きな成功を掴むと思っています。

アイカムの求人一覧

・品質管理など管理部門
応募資格:最低限のPCスキル、お客様との折衝もあるのでコミュニケーション能力も必要
求人の詳細はコチラ

・生産管理の管理者
応募資格:製造業での生産管理の経験、マネジメント経験
求人の詳細はコチラ

・成形機オペレーター、金型加工
応募資格:業務経験者

・海外赴任
応募資格:製造業経験者で海外でチャレンジしたいバイタリティ溢れる人

※求人の空き状況はお問合わせください。

会社概要

社   名:株式会社アイカム
本社所在地:長野県小諸市大字滋野甲429番地4
設立年月日:昭和62年7月1日
資 本 金:3000万円
従 業 員:200名

会社概要の詳細はコチラ(企業ホームページ)

この記事を書いた人

masman

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