20代のUターン転職は早すぎる？後悔しない転職活動の秘訣を紹介

Uターン転職とは、都会の企業に就職後故郷に戻って転職することですが、近年では20代を中心に希望者が増えています。
本記事では就職したが地方に戻って働きたいが早すぎるのでは、と考えている20代の方向けにUターン転職の実態や、成功するための必要な要点を解説します。

Uターン転職

1 Uターン転職を考える人は増えている
2 Uターン転職による環境の変化と影響
- 2.1 ①家族や周囲の人間関係が変化する
- 2.2 ②首都圏と地方では求人数が違う
3 Uターン転職する5つのメリット
4 Uターン転職する3つのデメリット
5 後悔しないUターン転職を成功させる6つのポイント
6 企業だけじゃない｜地方ならではの働き方
7 まとめ

Uターン転職を考える人は増えている

近年の転職事情では、Uターン転職を考えている世代で、最も多い割合を占めているのは、20代から30代前半の世代です。
では、何故若者を中心にUターン転職の需要が高まっているのでしょうか。

Uターン転職を考える理由

20代がUターン転職を希望する主な理由として
・親の介護のために地元に戻る
・子育て環境を整えたいため
などの実家や家族の都合が多く見られます。
また、それ以外では
・都会の生活に慣れない
・経済的に余裕をもちたい
・地方で自分にあった生活スタイルを築きたい
など、地方で自分のやりたいことが見つかった場合や、ライフプランの変更が理由として挙げられます。

Uターン転職に向いている人の特徴

地方での生活が苦にならない方は、Uターン転職に向いているといえます。
特に、地方は都会に比べて交通の便が発達しておらず、希望する転職先の条件が車通勤だったというケースも珍しくありません。そのため、車通勤が苦にならない方はUターン転職に向いています。
また、地元に戻ってやりたい仕事や明確な目標がある方もUターン転職に向いているでしょう。
目標やビジョンがはっきりしている方は、対策が立てやすく、Uターン転職が成功しやすいためです。

Uターン転職に向いていない人の特徴

Uターン転職に向いてない方の特徴として、転職への具体的な目標を持っていないことが挙げられます。
「プライベートの時間を地方なら確保できる」というような、地元で働きたいというよりも現在の環境から逃げることを優先にして転職活動を行うと、方針が定まりにくくなるでしょう。
都会よりも求人数が少ない傾向にあることも重なり、やっと求人を見つけても自分の経験やスキルに全く適していない業種に転職してしまい、かえって環境が悪化してしまう、なんてことも起こりかねません。

Uターン転職による環境の変化と影響

Uターン転職が通常の転職と違う点は、生活環境や職種の需要が大きく変わることです。
生活環境が変わることによって、自分にどのような影響が起こりえるかを想定しておきましょう。

①家族や周囲の人間関係が変化する

もし家族と同居することになれば、自分だけでなく家族のライフスタイルも変化します。
今までは一人で比較的自由だった生活スタイルを、家族の方針に合わせなければならなくなり、その結果、窮屈になってしまうというケースは想像に難くありません。
それまでは比較的仲のよかった家族と距離が縮まったことで、かえって複雑な関係になる可能性もあります。
逆に地元の友人と再会しこれまで以上に親しくなる可能性もあります。
このようにUターン転職は、よくも悪くも人間関係に大きな影響を与えるでしょう。

②首都圏と地方では求人数が違う

Uターン転職は、首都圏と地方とで人口や環境が大きく変わるため募集する人数や、需要のある職種が制限されます。
このような制限が加えられることで、希望する職種次第では転職の難易度が高くなるといわれています。
Uターン転職を考えている方は、環境の変化が求人数や転職難易度に影響を与えることと、希望する転職先ではどのような職種が求められているかを頭に入れて、転職活動をしましょう。

Uターン転職する5つのメリット

ここからはUターン転職のメリットについて詳しく解説します。
都会に比べてゆとりをもって生活できること以外にも複数のメリットがあります。

①忙しい生活環境から解放される

Uターン転職を希望する方には、生活環境の変化を望んでいる方も多いのではないでしょうか。
人口や交通の便など、周りの環境が変化することで都内ではありがちな忙しい毎朝の満員電車や、職場内での人間関係等のストレスから解放される可能性があります。
人が少なく、自然に囲まれた中でのんびりすごすことは、都会での生活や職場でのストレスで心身ともに疲弊した方にとって大きな癒しになるでしょう。

②地方自治体によっては援助がある

自治体次第では、Uターン転職を推奨しているところもあります。
Uターン転職は難易度が高いだけでなく、引越しや家具の処分などの思いがけない支出もあり、転職活動が思うように進まないこともしばしばあります。
しかし自治体次第ですが、地方自治体が引越し費用の一部を負担してくれたり、転職に関するセミナーをしてくれたりなどのサポートをしている場合もあるため、これらの制度を利用してもよいでしょう。
地域次第では、Uターン転職希望者向けのサイトを開設しているケースもあるため、自分の地域にどのような支援制度があるかを確認しましょう。

③人付き合いが楽になる

人との交流が生まれにくい都心に比べて、地方は地域間のつながりが強いため、孤独を感じることなく生活ができます。
また、地方に転職するといっても、見知らぬ土地に移住するのではなく、元々顔見知りが多い土地に帰るため人間関係はすでにできあがっている状態がほとんどです。
そのため、初対面の方とのコミュニケーションで起きるような人間関係の問題について深く悩むことは少ないでしょう。
旧友との再会や、思わぬ出会いを得られる可能性もあります。

④ワークライフバランスを保てる

通勤や人間関係などのストレスが軽減され、自分の生活を見直す余裕が生まれます。
都会に比べて物価が低いため金銭面に関しても余裕も持てる可能性があります。
このような余裕が生まれることによって、趣味やスキルアップをするための勉強など、プライベートな時間の確保にもつながるでしょう。
また、家庭がある場合には都会と比べて人数が少ない分、幼稚園や保育園の受け入れが比較的楽になるため、子育ての負担が軽減されます。

⑤自然がある故郷で暮らせる

小さい頃から住み慣れた故郷で家族と暮らすことで、都内での一人暮らしでは感じることのなかった安心感が得られます。
それまで離れていた両親と一緒に住み、家族との時間が増えるため、忙しくてなかなか機会がなかった親孝行をするチャンスも多くなるでしょう。
また、近くにいることで介護や、緊急時の連絡が取りやすくなります。
懐かしい故郷の景色や自然に囲まれながら、家族とリラックスして生活できることは大きな魅力です。

Uターン転職する3つのデメリット

Uターン転職にはデメリットも存在します。
デメリットを含めて正しく把握したうえで、転職活動をすべきか判断しましょう。

①移動に手間がかかる

Uターン転職は通常の転職とは異なり移動を伴います。
企業によってはリモート面接ではなく、対面での面接が方針となっている企業も少なくありません。
そのため面接や説明会などで、毎回都内から本社のある地方に移動しなければならなくなり、移動にかかる時間や交通費の負担が非常に重くなるというケースは多く見られます。
通常の転職に比べて手順や必要な費用が多いため、業者に相談して引越しにかかる日数や料金の見積りや、自分が入社を希望する会社の選考フローについてあらかじめ確認しておくと、余裕をもって転職活動を進められます。

②家族の同意が必要になる

Uターン転職は一人で完結するものではありません。
家庭を持っているのであれば、配偶者や子どもを巻き込む可能性があります。
自分の希望だけで転職活動を進めるのではなく、必ず家族と話し合い、転校の必要性や、地元の教育環境がどれほど整っているかを事前に調べておきましょう。
Uターン転職で環境が変わることで家族にどのような影響を及ぼすか、引越し先の両親と上手くやっていけるかを想定できなければ、仮に無事転職できたとしても家庭内での不和が起こりかねません。

③現職より年収が下がる

都会に比べ、地方の賃金は低い傾向にあります。
職種にもよりますが、希望年収については、ある程度は割り切って転職活動を行ったほうが希望する条件に合った求人を見つけやすいでしょう。
仮に、前職よりある程度年収が下がったとしても、そもそも地方は物価や住居費が安くなる傾向にあるため、大きなデメリットにならない可能性もあります。
希望する年収額というよりは、自分が生活できる最低年収額について、あらかじめ計算しておくとよいでしょう。

後悔しないUターン転職を成功させる6つのポイント

Uターン転職はハードルが高めではありますが、ポイントをおさえればスムーズに転職活動を行えます。
この章では、Uターン転職を成功させるためにはどのような準備が必要になるのか、転職活動が始まったら何に気を付ければよいのかを解説します。

①地域の情報を最新にする

地元の企業や求人をチェックする前に、地域の情報をアップデートしておきましょう。
いかに慣れ親しんだ故郷といっても、自分が住んでいた頃とは、周りの環境が一変している可能性は十分にあり、地域によっては
・いつの間にか条例が変わっている
・実は現在住んでいる場所より住民税が高かった
ということが、引っ越してから判明することもあります。
Uターンする地域の情報については、家族や知人に聞いて、できるだけ多く集めておきましょう。
また、子どもがいる場合は、近くの学校や通学方法についても調べておくとベストです。

②地元の企業調査をする

地元の企業を調査する際は、自分のやりたい仕事や、スキルや経験を活かせる仕事が地元にあるかのチェックは、最低限しておくことをおすすめします。
Uターン転職はなかなか仕事が決まりにくいからといって、手当たりしだいに求人に応募した結果、前職と同じような地域に配属になった、というようなことがあっては環境を変えた意味がありません。
目標の他にも、給与条件や福利厚生などの待遇面で、どこまで妥協できるかを線引きしておけば、希望に近い仕事を見つけやすいといえます。
地方は求人数が少なく、仕事を探すことが難しいため、企業に動きはないか、常に求人や採用情報の確認は忘れないようにしましょう。

③転職活動を始める

地元の企業のチェックと並行して、求人への応募を始めます。
このときに焦って、先に退職をしないよう注意しましょう。
Uターン転職は、説明会や面接で地元に戻る場合があり、その都度交通費や宿泊費がかかります。
タイトなスケジュールではありますが、仕事を辞めずに転職活動を行う方が、金銭面な余裕を持てるためおすすめです。
転職活動中は、移動や準備で忙しくなるため自分の仕事の状況や、面接の日程確認は怠らないようにし、時間を有効に使いましょう。

④志望動機を明確にする

志望動機を書く際は、地元で働きたいというような曖昧な理由にするのではなくて、なるべく具体的な動機を伝えることが重要です。
なぜUターン転職をしたいのかや、その仕事を選んだ理由、長く地方で貢献する熱意が伝わるような文章を書くとよいでしょう。
また、Uターン転職後の自分が考えるキャリアプランと、志望する企業の方針に合った部分を書くということも、自分が企業にどれだけ貢献できるかのアピールにつながります。

⑤退職手続きをする

企業から内定をもらった後に、退職手続きと引越し作業を始めます。
引越しは内定後のスケジュールに合わせて、余裕をもって終わらせましょう。
転職先は勿論として、現在働いている職場にも迷惑がかからないように、上手く日程調整を行うことが理想です。
どんな理由で退職するにしても、今までお世話になった職場であることに変わりはありません。最後に感謝の気持ちを伝えられれば、思い残すことはなく、スッキリした気持ちで転職できます。

⑥不安なら転職エージェントも活用する

自分で転職活動を進められるかどうか不安な方は、転職エージェントを利用することも一つの方法です。
専門知識を持つエージェントによる、面接や書類の添削などのサポートは、自分で見直す時間がなかなかつくれない社会人にとってありがたいサービスです。
地域によっては、Uターン転職希望者向けのエージェントサービスがあります。
自分の地域にはどのようなエージェントサービスがあるかを確認してみましょう。

企業だけじゃない｜地方ならではの働き方

企業に入社して正社員として働くこと以外にも、地元に貢献する方法はいくつかあります。ここでは地方ならではの働き方や、専門職を紹介します。

地域おこし協力隊｜地域活性化のサポートをする

地域起こし協力隊の仕事内容は自治体が行う貢献活動のサポートです。一定期間地方に定住して地域の活性化に携わります。
貢献活動の内容は
・広報支援
・生活支援
・ブランド品の開発や販売
など多岐にわたります。
期間はおおよそ1~3年と定められていますが、一般企業では経験できないような業務に従事できることや、それによって得られるやりがいは地域おこし協力隊ならではの魅力です。
期間が終了しても定住し、引き続き貢献活動を行う20代も多く見られます。

派遣・フリーター｜地方でゆったりした生活を送る

正社員の求人数が少ないため、あえて派遣登録し、非正規社員として働く方もいます。
これは物価高な都内に比べて、生活費の負担が少ない地方だから可能な働き方であるといえるでしょう。
正社員にこだわらなければ、ライフプランは自由に立てられるため、地方に戻ったタイミングで、趣味やスキルアップに時間を使いながらゆっくり暮らす方もいます。
このような働き方は、都内での仕事でストレスが限界に達した方にとっては、自分の将来についてじっくり考え直すよい機会にもなるでしょう。

副業｜リモートワークなどで多様な仕事を兼業する

近年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、リモートワークを取り入れた働き方というものが注目されています。
自分の生活スタイルに合わせた自由な働き方に魅力を感じて、クラウドソーシングサービスを利用してオンライン上で仕事を受託させる方も少なくありません。
また、地方で自分のやりたいことや立ち上げたい事業のイメージを抱いている方は、いくつか兼業しつつ専門知識や資格をとって、NPO法人を立ち上げたり独立して起業をするというパターンもあります。

一次産業｜高齢化が進む農業や林業に携わる

地方にUターンして農業や林業などの、衰退化が進む一次産業に携わる方もいます。
少子高齢化の影響で後継者不足の業種では、積極的に後継者募集を行っている地域も増えてきました。
自治体によっては希望者を支援する制度があるため、働きながら経営について学べます。
肉体労働も多いため体力面での負担こそ大きいものの、経営のノウハウや専門的知識を得られるものが多いことも魅力です。